出産は人生の素晴らしい瞬間ですが、経済的にも大きな負担になることがあります。
そこで、国は出産費用の一部を助けるために、出産育児一時金と出産手当金という2つの制度を設けています。
しかし、この2つの制度にはどのような違いがあるのでしょうか?この記事では、出産一時金と出産手当金の違いについて詳しく解説します。
出産育児一時金と出産手当金の違い
出産育児一時金と出産手当金は、どちらも出産に伴う経済的負担を軽減するために設けられた制度ですが、支給されるタイミングや金額、受給条件などが異なります。
出産育児一時金は、出産した月の前月末の時点で、被保険者期間が12か月以上であること、出産した子が日本国内で出生していることなどの条件で支給されます。
一方、出産手当金は出産のため会社を休んだ場合に支給される手当金です。
では、もう少しわかりやすく解説します。
出産育児一時金とは
出産育児一時金とは、健康保険や国民健康保険などの公的医療保険制度の被保険者が出産したときに支給される一時金です。
健康保険法等に基づく保険給付として、健康保険や国民健康保険などの被保険者またはその被扶養者が出産したとき、出産に要する経済的負担を軽減するため、一定の金額が支給されます。
支給額は、42万円(令和5年4月現在)です。双子以上の多胎児を1人出産した場合は、1人あたり15万円が加算されます。
ただし、医療機関の条件等によって支給金額が変わります。くわしくはこちらのサイトを参考にしてください。↓
出産手当金とは
健康保険の被保険者が出産のため会社を休んだ場合に支給される手当金です。
出産手当金とは、女性労働者が出産のため会社等を休み、その間に給料の支払いを受けなかった場合に、仕事を休んだ期間を対象として健康保険から支給されるものです。
※「出産育児一時金」とは別のものです。
詳しくはこちらのページを参考にしてください。
出産育児一時金と出産手当金の受給条件
出産育児一時金の受給には、いくつかの要件があります。主な要件は次のとおりです。
- 被保険者であること
- 出産した月の前月末の時点で、被保険者期間が12か月以上であること
- 出産した子が日本国内で出生していること
出産育児一時金の申請は、出産した日から1か月以内に、健康保険の被保険者となっている事業所または健康保険組合にしてください。
一方、出産手当金の受給要件は次のとおりです。
休んだ期間についての給与の支払いがあってもその給与の日額が、出産手当金の日額より少ない場合は、出産手当金と給与の差額が支給されます。
出産手当金は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産の予定日)以前42日目(多胎妊娠の場合は98日目)から、出産の日の翌日以後56日目までの範囲内で会社を休んだ期間について支給されます。
支給額は1日につき標準報酬日額の3分の2で、最長56日間支給されます。
標準報酬日額は、
1日当たりの金額:【支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額】(※)÷30日×(2/3)
(支給開始日とは、一番最初に出産手当金が支給された日のことです)
で計算されます。
なお、出産育児一時金は男性・女性関係なく受給できる制度です。一方、出産手当金は出産した人ですから、女性に限られます。
以前は、出産育児一時金も出産手当金も女性だけが申請できる制度でした。
それまでは、出産育児一時金は女性のみが受給できる制度でした。
男性が受給できるようになった背景には、少子化対策の強化があります。政府は、男性の育児参加を促進することで、出生率の向上を図ろうとしています。
ただし、夫婦重複してもらうことはできません。
まとめ
出産育児一時金は、出産費用の一部を助けるための制度ですが、出産手当金は、休業中の生活費を補うための制度です。出産を控えている方は、それぞれの制度の特徴や受給条件をよく理解し、自分に合った制度を利用するようにしましょう。